2008年5月23日金曜日

課題・ViZiMo

今回アップするのは、操作方法を覚える意味も込めた仮版。いずれはイベント発生などを用い、より理想に近づけていく見当。企画PDFはこちらから。テーマは「仮想世界の痛覚」、今回は下に説明も付記した。


ヴァーチャルリアリティの世界に肉体的「痛み」はない。それは「現実の感覚がなくなる」、「他人の痛みを理解できない」と、教育的側面で批判の対象となることがある。その論理が正しいか否かは別として、「他人の痛みを理解する」ということについて少し考えてみたい。
率直に言って、そんなことは不可能である。自分が自分である以上は、他人の知覚を経験することができようはずもない。
しかし、「自分が自分でなくなる」、あるいは「仮の自分という他人になる」という体験があれば、他人の痛みは多少なりは感じ取れるようになるのではないか。

そして考えてもらいたいのは「自分が他人になる」という体験は、ネットワーク上において顕著だということだ。

***
以上を基本的コンセプトとし、更にViZiMoの機能とを勘案して考えると、
1.人型のキャラクターを利用。それを肉体的に傷つかせる。
(物に傷つけられるのでも、別のキャラクターに傷つけられてもよい)
2.視点変更により、傷つけられる瞬間を仮想体験する。
(傷つける側と傷つけられる側の視点を体験。また一人称視点を利用して臨場感を出す)

といった方法での実現が可能ではないか。ユーザーの操作を離れてキャラクターが勝手に動いていくとよい(イベントの設定などで可能か?)。

問題として、キャラクターを肉体的に(というのも実際には妙な言い方であるが)傷つけるのは本来的な利用趣旨に反していないかということ。あるいは倫理的なコードに。
(ViZiMoでは「兵器」が素材に用意されているが、決して陰惨・グロテスクではないところが切り口になるか?)
また、あまりに直接的である。目新しさや、イメージを喚起させる、これを契機に深く考えさせるということはあまり望めないかもしれない。


理屈はこの程度にして、現時点でのスクリーンショットを以下に掲載しておく。

全景

ズーム

それぞれの視点

14 件のコメント:

HIdenori Watanave さんのコメント...

テーマ設定は秀逸ですね。ただ、ViZiMoでどこまで表現できるかということもあるので、しばらく色々試してみて「痛み」ではうまくいかないようなら他の情動や感覚に鞍替えしてみるのもアリです。期待しています。

noriko さんのコメント...

佐藤君の発想にはいつも驚きばかりです。
同じことやってるのにどうもレベルが違います。
尊敬です。

すごく難しそうだけど、完成作品がとにかくみたいです

Orie さんのコメント...

痛みを感じないからこそのヴァーチャル世界なのにそこを突く皮肉さがいいと思う。

キャラクターの表情が無表情だからより伝わりにくいかもしれないけど、それを逆手にとってなんかヒヤッてするもの作ってください。期待してマッスル。

きゃおる さんのコメント...

視点の切り替えが、自分なのに他人で他人なのに自分という不思議な感覚・見方がとても面白いです。

あしゃ さんのコメント...

佐藤君の視点は斬新でおもしろくていいですね(・∀・)
たしかに、キャラクターの表情が無表情だし、
視点を変えることによって傷ついたってことを感じさせることで
うまく痛みを表現できるといいね♪
皆と同じく期待してます!

6011 さんのコメント...

自分なのに他人、とか、痛みを感じない、というのは何だかオンラインゲームみたいだなあ…と思いました。

たみこ さんのコメント...

発想は面白いかもしれないけれど、オンラインゲームの根本がある意味そこにあると思うからあんまりいじってほしくないというのも本音。痛覚とかはあまりにも…それこそ感情とか、温感とかまだまだいろいろな五感に訴えるのはあると思います。

HIdenori Watanave さんのコメント...

↑たしかにそうかも知れないね。

ゲームやこういった仮想世界に落とし込みやすい感覚とは何か、一つ一つ検証していくのが一番かも。

takaD さんのコメント...

こう、具体的でなく、抽象的なものを作るというのは凄くいいと思います。
ここからだんだん詰めて、具体的なものになってきたらいいんじゃないかなあとは思うんだけど、どうなんでしょう。

はちゃーん さんのコメント...

抽象的なテーマ設定はさすがさとう君らしいですね。
抽象→具象にするのは難しいですが、痛みの表現は視点以外にもあるような気がします。楽しみにしてます!

きむのじ さんのコメント...

痛覚というテーマは思いつきませんでした。
PDFまでつくって…素晴らしい!
突き詰めていくと難しそうだけど楽しみです。
何か精神的なもので、例えばチャットで傷つくことを言われたときにダメージをくらったら面白いなとふと思いました。

cube さんのコメント...

痛みがコンセプトって斬新ですねー。

確かに・・・現実世界でも他人の痛みを感じるのって無理かも、でもつい痛々しくて観たくないような映像ってあるよね。


ViZiMOで表現するのは大変だと思いますががんばってください。期待してます。

Tatsuhiko Suzuki さんのコメント...

床がまさに仮想現実な感じでいいですね。

でもVISIMOSNS内で公開してそこで遊んでもらう場合ってプレイヤー視点変更できるのかなと・・・
僕も視点変更を使っているのでそこがどうしようと思っています。
でもVISIKITのテストプレイをムービーで取れれば大丈夫なんでしょうか・・・?

佐藤さんの作品は毎回好きなので期待しております。

ぐぐぐ さんのコメント...

視点を変えることで、なんだか痛みの本質?が見えてきそう。
感情とか感覚って見た目に表しにくいものをどうやってあらわすか。楽しみです。